JACk 7
帰還
ジャックの人生のその後
今生での生を終える時、「死」、「臨終」の時は、荘厳な光が、開き、そして圧倒的に降り注いできます!
それが、部屋の窓からの光なのか、天上界からの光なのか、区別がつかない感じがしました。
部屋の天井が薄く霞、霞の向こうには、「あの場所」が確かに臨在しているのが分かるのです。
僕たちが天国、として理解しているような場所。僕はその時はわかりませんでしたが、振り返ってみると、そこは、単に「あそこ」と呼んでいます。
「あそこ」に帰るとか、行くとか、戻る。とういう感じではありません。
感覚としては、単純に、「あそこ」に「ある」と言ったところでしょうか。名前はないのです。
私の左手をぎゅっと握って傍らでは、ずいぶんと年老いたキャシーが目を腫らして、泣くのを我慢した風で頬に涙が伝っています。
唇を固く嚙みしめて震えていた、あの戦争の幼かったあの時の幼い面影と重なります。
僕は彼女の手の温かさを感じます。
彼女の深い愛を感じ、そして彼女の「行かないで。ジャック。私を一人にしないで」という感情が私の中に流れ込んできます。
そして、それでも今日がその日なのだ。ということも、彼女はわかっていました。
足元から右側にかけては、使用人や、かつては奴隷だった人たち、子供たち、孫たちがやはり神妙な顔をして私を見ています。
おいおい泣いている使用人もいます。彼らは自由を手にしたのです。
僕が逝ってしまうのが、悲しくて仕方が無いのです。そういう皆の感情が魂に流れ込んできます。
「なに泣いてんだい。どうか泣かないでおくれ」
僕は彼らが泣いているのが可笑しくて仕方がありません。
嬉しさと、感謝の心と愛おしさ、暖かさに満ちていきます。
「わたしは、こんなにハッピーなんだから。今日は泣く日じゃないのだから。どうか、キャシー、泣かないでおくれ。」
僕はこの上ない、至福に満ちています。
身体からめちゃくちゃ幸福感が溢れています。
「死」は、グレイトなハッピーなのです。
それが可笑しくて仕方がありません。
笑いがとまらないのです。
甘いお菓子を口いっぱい頬張った時のような、キャシーの入れてくれたお茶を味わっているあの穏やかな午後のひと時の至福の時間。それよりももっとです。
そして、
その時が来ます。