Roman soldier (or general, later governor?) episode 7

Autumn 2015

探究の始まり

私の体は、しっかりとした骨格をしています。
良く鍛えられた体です。
それに綺麗にヒゲが揃えられた端正な顔立ちをしています。

私は隊長あるいは、将軍と役職で呼ばれているようです。
当時話されていたラテン語のような響きです。

我々の軍は船団を率いて島を目指していた。
無論、目的の島を従属させるためである。

目の前には島の壁のような岸壁がそそり立ち、
太陽と青空が我々の背後にあった。

我々の艦隊は、島の岸壁から飛んでくる雨のように降り注ぐ矢に、それ以上先に進めずにいた。

私は矢が数本私の体に突き刺さり、
私は海に投げ出されます。

私の身に着けた甲冑が海水を含んで重くなり、溺れて海の中に沈みかけていました。

私の肺や胃に海水が容赦なく入り込み、どうにか身に着けた甲冑を脱ぎ捨て、
仲間に引き上げられ、海面に上がったとき、私はひどく咳込み、飲み込んだ海水を吐いた。

どうにか船の上に上がったものの、
すでに戦況は惨憺たるものだった。

私の目の前で、
多くの兵士が矢にあたり叫んでいた。

小さい石がゴロゴロとこすれる浜辺。

次々と兵士たちが矢に身を射抜かれ、海底に沈んでいく。

降り注ぐ火の矢が、船団を燃やしていた。
火に焼かれている兵士も多数いた。

波打ち際には兵士のあふれるような死体と、
海水が赤黒く染まっていた。

この作戦は完全に失敗だった。

私は、多くの兵士を失った上、撤退命令を出す以外に道はなかった。

沈没を免れてわずかに残った船団は夕日の中、
寄港地を目指してオールを漕いでいた。

皆、一様に疲れ果て、満身創痍だった。
私は赤く染まる空を見上げながら、
海風に汗と血の匂いが混じるのを嗅ぎながら、
ひどく、みじめな気持ちになっていた。

(セラピストに)あの島はどこかと聞かれ、
私は迷わずにミノス島と答えています。

当時、そういう名前の島があったのでしょうか?
(あるいは、ミノア文明のことでしょうか?)
いづれにしてもエーゲ海での出来事です。

私はこの戦争によって滅亡するであろう、
王族の末裔の姫と恋人でした。
以前から私たちは知り合いでした。

彼女はクレア。

ウエーブした黒髪に、
エーゲ海色の瞳を持つ美しい人だった。

私は命拾いをしました。
しかし、私は前線の港町の酒場で酒に溺れています。

私はやる気を失い、しばらくは本当に無為に時間を過ごしていた。
昼間から木製のカップで、少し酸っぱくなったくそ不味いワインを煽るように喰らい、
夜は酔いに任せて、私は店の給仕の女と愛し合った。

店主は、自分の娘だと行って金を巻き上げようとしたが、私にはそうは見えなかった。

小さな窓から、月と波の音が聞こえていた。

酔った頭でも、私は、青く光る月明かりが寂しいと思っていた。

その後、しばらくして、
私たちは体制と軍を立て直し、再び、戦争の準備をしていた。

大きく状況が変わったのだ。

戦力の補強が行われ、
再び私は軍を率いる事になった。
(私は、誰か、政治家や軍関係者と頻繁に密会をしている)

そして、
その夜、幕屋の中。

軍事会議の場で、私はとても嫌な気持になっていた。

できるなら、戦わずしてこの戦いに勝利することを望んでいた。
もはや戦力の違いは明らかだったし、私には戦況は彼等に不利だと確信する幾つかの材料を捨てに持っていた。

しかし、部下たちは皆殺しの総力戦を主張していた。

私は腹心の若い兵士を調停者として遣いに出した。降伏を勧告するためだった。

しかし彼は戻ることはなかった。

その夜更け、もうすぐ夜明けという時、共の者を伴って、
珍客が陣営にやってくる。

クレアだった。

自分の命と引き換えに、兵を引いてくれと懇願しにきたのだった。
だが、私はそれはできないと無下にあしらう。

既に時代の賽は投げられたのだ。実に悲しいことであった。

薄明りの中で、できることならクレアだけでも救いたいとも心によぎるが、
それは叶わぬことだろうとも思った。

フードを被る時の、彼女の憎しみと苦しみと切なさの入り混じった眼差しを忘れることができなかった。

彼女を受け入れないという決断が全てだった。

クレアは酷く絶望に打ちひしがれて後にした。それを私は薄がりの中で密かに見送る。

私の心は悲しみでいっぱいだった。

太陽が昇る前に私たちは船団を伴い、島を挟み撃ちするように再び攻め入り、昼を待たずに島は陥落した。

上陸するといたるところに死体が重なり、人と何かが燃える匂いがあたりに立ち込めていた。

波打ち際が死体から流れ出る血で生臭かった。

私は、再び、虚しかった。

王宮と思しき中庭で、クレアが侍女を庇うように覆いかぶさり、背中を一突きにされているのを発見し、私は涙が溢れるのを抑えられません。

剣を引き抜き、彼女を腕に抱えます。

その日の夕暮れ、私たちは彼等の文化に則り、丁重に彼等を葬ります。

それから幾年も時を経て、

丘の上に立つパレス?に白いカーテンがたなびき、波の音が聞こえてきます。でも海があるようには感じません。

今は平穏な日々を過ごしています。私は鎧はつけていません。肩飾りのある白いチェニックを着ています。何か果物を口にしています。(葡萄?)みずみずしい果物です。

上等なワインもあります。銀製のワイングラスです。若い兵士の時、海辺の酒場で飲むような酒とは違います。

穏やかな時間が流れていきます。私はクレアのことを遠い記憶に思い返しています。生涯を寄り添った女性、伴侶がいたのかもしれません。

しかしそれはただ、それだけのこと。

波の音が聞こえます。愛おしさを感じます。

私は総督か、何か、この地を治める地位にいます。

クレアは今生で現在の恋人です。

彼女の夢の中で僕は相見え、その瞳の奥にその記憶が呼び起こされたのだった。

そう、あの浜辺でのさざ波の光彩の中で。

彼女はその瞳と、優しい微笑みと何にも媚びない凛とした気高さ同じです。

今、僕は彼女の優しさに包まれています。

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