Another universe. Another world.
フレア(Flare)
ここは静寂そのものです。
わたしは女性です。
髪の毛は銀色です。
わたしは地球人と同じ人間の身体をしています。
でも瞳は、燃えるような不思議な神秘的な色をしています。
髪の先に、とても美しい細工の施した髪飾りや、
夜空の美しさをそのまま閉じ込めたような、宝飾を身につけています。
そうですね。
わたしは、亜麻布とベールをまとったアルテミスの様、と言えばイメージしやすいかもしれません。
そういう、現在の意識からすると女神のような雰囲気です。
その出立がとても神秘的です。
そして、わたしはゆったりとしたローソファーのもたれかかり、
長い時を瞑想しています。
とても長い時間です。
人間が想像できる時間の枠を超えるような時の流れです。
感覚的にいえば、
それはいわゆる「メディテーション」というような感じではなく、
宇宙と一体になっている。というか、自己の境界線を超えている同一感という感じです。
まぁ、それをmeditationというのでしょうか。
白い清潔感のある広い館のリビングは、そのままテラスに突き出すように開かれていて、そしてその先には見たこともない広大な夜空が広がっています。
天の川銀河の夜空ではありません。
眩いばかりの生まれ来る星々や、星雲が手の届くようなところに広がり、山の稜線の上には輪のある巨大な月が二つ輝いています。
満天に爆発するように、
恒星が、遠く眩くきらめいています。
わたしの隣にはパートナーがいます。彼は男性です。
わたしの名前は地球の感覚、言語的にいえば、フレアです。
強烈な光、燃え上がるような閃光、
赤い光。
先ほども言いましたが、
わたしたちは、本当に長い時間、瞑想をしています。
気の遠くなるような時の中。
ですがわたしの意識の中では「今」という感覚だけです。不思議ですが。
何万光年。の時の流れ。
わたしたちにとっての瞑想とは、
クリエーションであり、
音楽を奏でることであり、
大いなるものと一つであることの喜びを感じることであり、
同時にわたし自身が、在るという事、
自由、
呼吸。
なのです。
わたしは、
ゆっくりと目蓋を開け、
眼前に広がる光景を目にして、
その時ある事をふと思いつきます。
「わたしたちは、転生しよう」
輪廻の円環。
永遠の生命。
そして、常に新たな命の芽吹き。
私の、
この針を突くような一点光明のアイデアに、
わたしの中に、瞬時に次々と壮大な物語が、ビッグバンのように駆け巡っていくのを感じます。
全てがわたしの中から弾け出し、
全てが自分の中に吸収される感覚です。
わたしは深く長い瞑想のなかで問うてきました。
瞑想によってわたしは大いなるものとつながることができ、
そうしてその恩寵を表したいと思っていました。
今という瞬間を知るために。
自らを現すために。
ではそれをどのようにデザインし、何を現すのでしょうか?
わたしは、メディテーション用のロー・ソファーの隣に座った彼に、私は少し興奮気味に話します。
「とても素敵なことを思いついたの。
本当にこれは素敵なことよ。
わたしたちは私たちを知るために、旅に出ようと思うの。
長い長い旅になるわ。
でもきっとそれはあっという間の出来事。
そんな気がするの。
時という中を旅するのよ。
そうして何度でも私たちは出会うの。
出逢い、そして別れもするけれどそれでもやっぱり出逢うの。
愛を知るために。
これはね、そういう風にできてるのよ。
全ては大いなる経験を経て、
私たちの神聖は成熟していくでしょう。
そう、私たちは転生するのです…」
彼は、わたしに賛同してくれます。
「それは、とてもとても素晴らしいことだ!」
ここは、地球が存在する宇宙ではありません。
別の宇宙での話です。
私の魂の故郷。
でも、あなたのお話でもあります。
昔々、遥か銀河の彼方での物語です。